『Brothers』 岡田純恋・作

*配役*
吉永竜也(よしなが・たつや)30歳 サラリーマン。長男。/坂本昌行

本当は長男だけど親が居なくなってからは弟達の父親的存在。会社では重役。


吉永伸也(よしなが・しんや)29歳 目標を持つフリーター。次男。/長野博   
舞台俳優を目指す弟思いな次男。しかし後輩が次々と俳優デビューしていく事にかなりの焦りを感じている。家ではかなり弟思い。
第二の父親的存在。

   

吉永英樹(よしなが・ひでき)26歳 専業主夫??三男。/井ノ原快彦
かなりの弟思いで、忙しい長男に代わって専業主夫状態になっている。亮の事に少し頭を抱えている。

吉永亮(よしなが・りょう)20歳 一応大学生。五男。/森田剛
普通に高校を出て大学入学した優等生であったが、今は大学に行かず毎日遊び歩いている。
かなりの弟思いである三男・英樹がちょっとうっとおしく感じている。 

吉永雅也(よしなが・まさや)19歳 受験生。六男。/三宅健
一流大学合格を目指す受験生。大学生だが遊んでいる亮には勉強を一切聞かず、現役大学生の四男・祥に勉強を教えて貰っている。

吉永祥(よしなが・しょう)23歳 大学生。四男。/岡田准一
現役大学生。昔は雅也にも亮にも勉強を教えていたが、今は雅也にしか教えていない。少し荒れ気味の亮がどうにかならないかと
五男の事を一番考えている。







Brothers



男:部長!1番にお電話です。
竜也:…誰だ?…はい。お電話代わりました。○○株式会社の吉永です。
英樹:『兄ちゃん!俺!英樹だよ!』
竜也:何だよ!会社に電話してくんなって言っただろ!
英樹:『また、、亮が問題起こして…』
竜也:…今度は何だ。
英樹:『同じ大学の奴と喧嘩したらしいんだよ。警察沙汰になったりはしてないけど、相手を怪我させたみたいで…』
竜也:英樹…悪いけど、お前も子供じゃないんだから、亮の事は任せてもいいか?それに今度からこういう事は、携帯の方に連絡頼むよ。
英樹:『うん、、分かった。悪かったよ。じゃあな。』
竜也:…はぁー…。。どうにかならないかなぁ…。。


吉永竜也。大手企業の部長。彼には下に5人の弟たちがいる。
目標を持つフリーターの伸也、未婚なのに専業主夫のような状態になっている英樹、一流大学に入学した祥、
大学入学したが荒れ気味で周囲を困らせる亮、大学進学を目指す高校3年生の雅也がいる。


彼ら6人兄弟は、末っ子の雅也が10歳の時に、親を交通事故で亡くした。
それからは、長男の竜也が弟たちの父親代わりとなって、今まで生活してきていた。


竜也:ただいま〜。
雅也:おかえりー!!お疲れ様ー!
英樹:ご飯出来てるよー。
竜也:…何か本当に専業主夫だな、英樹…。。
祥:雅也!!この問題終わらせないと夕飯抜きだぞ!
雅也:えぇー!それで当ってんじゃないのぉ??
伸也:あぁーもううるさい!!今度の公演の台詞が覚えられない!!
雅也:おっ、今度はやっと主演ですか?
伸也:…やっとって言うな…。。やっとも何も、…脇役だよ…。
雅也:ふ〜ん。頑張ってねv
竜也:亮は?
英樹:まだ帰って来てないよ。喧嘩してから連絡もないし…。
亮:ただいま。
祥:あ、噂をすれば。
英樹:お前、相手に謝ったのか?
亮:うるせぇよ。
英樹:亮!自分の部屋閉じこもるんじゃねぇ!夕飯どうすんだ!
亮:食って来たからいらねぇよ!!
竜也:英樹、ほっとけ。


周囲を困らせっぱなしの亮には、全員頭を抱えている。その中でも英樹は、何とか亮を更生させようとするが、いつも空回り…。


そんなある日…6人それぞれに最悪な事が起こった。。


竜也:えぇ!!今度の取引が出来ない…?どういうことだ!!
男:連絡ミスでして…。。
竜也:…俺が先を読んで連絡していれば…。。どうしよう…俺のミスだ…
男:部長…。。
竜也:これはかなり大きな取引だったからな。。俺のミスとなると…処分は覚悟している…。。
男:吉永部長…。。




雅也:えっ…!何でこんな偏差値…。。
先生:どうしたんだ?大学進学を目指す奴の偏差値とは思えないぞ。遊んでたのか?お前には成績優秀な兄貴がいたんじゃないのか?
    このままじゃ大学進学は無理だぞ!
雅也:……………




伸也:えっ…俺は?
演出:この間、吉永休んだだろ?その時に代役やって貰った奴の方が吉永より上手いんだよね。悪いけど、今回は降りてもらうよ。
伸也:…そんな…。。




祥:は?何だよ??
友達:お前の弟、偏差値思い切り下がったらしいな?お前教えてんだろ?何やってんだよ!
祥:何でそんな事知ってんだよ…。
友達:俺の親の友達が、お前の弟の教師なんだよ。話聞いちゃってさぁ。自分だけいい大学入って、弟には適当に教えとけ。とか
    思ってのか?
祥:そんなつもりねぇよ!!…なんでお前にそんな事言われなきゃいけないんだよ。。




亮:…この野郎ぉぉぉぉぉ―――――!!!
男:…ふざけんじゃねぇ!!
亮:お前こそ!!
警察:そこまで!!吉永亮。お前だな。ちょっと一緒に来て貰おうか。
亮:……………




英樹:すいません!吉永亮は??
亮:…兄ちゃん。
英樹:亮!!お前…ふざけんなよ!警察のお世話になりやがって!!
亮:うるせぇ!!てめぇは家帰ってろ!!!
英樹:亮…ふざけるなっ!(亮を殴る)
亮:……………
英樹:…あ、、ゴメン…。
亮:いいから帰ってろよ…。まだ聴取があって俺は帰れねぇんだよ。。
英樹:亮…。。


亮以外の5人は家に帰宅した。重苦しい雰囲気。。


英樹:…あぁー何か雰囲気悪ぃなぁー!り、亮の事でか?みんな?
竜也:…違えぇよ。。
雅也:それぞれ嫌な事があったんだよ…。。
英樹:…ん、、んならここでぶちまけようぜ!兄弟じゃねぇか!なっ!
竜也:取引失敗で処分確実…
雅也:偏差値降下で大学進学危うし…
祥:雅也の偏差値の事で友達に悪口言われて…
伸也:やっとつかんだ脇役を降ろされたよ…。
英樹:…………。。
伸也:こんな俺らにかける言葉なんかあるのか?英樹。
英樹:俺だって辛いさ。亮の事。。竜也兄ちゃんが仕事してて、伸也兄ちゃんも目標持って頑張ってるからさ、
    自然に俺が保護者みたくなるわけじゃん?そうなると亮の事は全部俺に来るんだよ。。
    近所から迷惑だって苦情来るしさ…俺だって嫌な事はあるんだよ…。。
雅也:…最悪だな。今の雰囲気。


そんな重苦しく最悪な雰囲気が1週間続いた。
兄弟同士、全く会話も交わさない最悪な状態に。。


そんな中、一人の男の言葉で、今の状態が180度変わる事になる…!


英樹:飯食えよ。
全:…………
英樹:あぁもうやめようぜ!!何なんだよこの雰囲気!!
祥:うるさいよ。。たまにはいいんじゃねぇ?こういうのも…。
英樹:何がいいんだよ!


そっと家のドアが開いた…


亮:ただいまー。
伸也:亮!帰ってきた!
竜也:一週間帰ってこないから、、警察に捕まって帰れないのかと思ってた。。
亮:ん、まぁそれもあるかも。でも警察にいたのはたった1日だよ。
雅也:亮兄ちゃん…どんな手使って逃げたの??
亮:逃げたんじゃねぇよ。今回の喧嘩は…明らかに向こうの方が悪かったんだよ。実は俺…内緒にしてたけど、バイトしててさ。コンビニで。
祥:まっ、マジで!?
亮:喧嘩相手が、万引きしたんだ。それでそれを阻止しようとした俺にナイフ突きつけてきて。。それでカッとなって殴っちゃったんだよ。
  正当防衛で俺は無罪になった。
英樹:そうなんだ…良かったな!
亮:何か、、みんな表情暗いな。どうした?
祥:みんなそれぞれ…最悪な事があって…。
亮:ふーん。何があったか知らねぇけど。1からやってみれば?
伸也:…えっ?
亮:俺、こんな事言うの恥ずかしくて黙ってたけど、、こんな俺から卒業して、1からやり直そうと思ってさ。…大学辞めた。
竜也:それのどこが1からなんだよ。。
亮:雅也と一緒に受験生になる。
雅也:はっ!?
亮:祥兄ちゃん、前みたいに教えてよ。勉強。
祥:えっ、、マジ言ってんのか??
亮:大学受験からやり直して、いつかは普通に就職して、竜也兄ちゃんみたいになってやろうかなーとか思って。
竜也:…亮…。。
亮:だからさ、みんな何があったか知らないけど、1から頑張るってのいいモンだよー。自分の気持ちの切り替えになるし、
  また新しく色んな事に挑戦出来るしさ。どうしようもなくなったら、1から始めてみれば?…あぁー腹減った!!
  この1週間まともなモン食ってねぇんだよ!英樹兄ちゃん、飯食わせて!
英樹:あっ、あぁ。。
竜也:…亮…変わってくれたんだな…。。
伸也:あんな手の付けようがない奴が更生するなんて…
英樹:俺ら、負けてられないよ!
祥:そうだな!!雅也、亮と一緒に今までの数倍頑張るぞ!!
雅也:おぅ!!亮には負けねぇぞ!!


その後…その後の6人は…


竜也は、取引先とのミスもあったものの、実は連絡を任せていたのは係長で、竜也には何の罪もなく、
その後どんどん仕事をこなしていき、昇進してその大手企業の社長になった。


伸也は、最初はチョイ役しか貰えなかったものの、1から頑張る…を心に決めて努力を続けた甲斐あり、次の公演では主演に。
その役が開花し、その次も、そのまた次も主演街道を走り続けた。


英樹は、もう亮のことで悩むこともなく、近所からの苦情などでも悩むことは全くなくなった。悩みが全解決した英樹は、
更に専業主夫状態になろうと、料理のレパートリーを増やしたりしている。


祥は、雅也と、元不良だった亮にも勉強を教えていて、大学ではとても優しい天才兄貴として通っている。
その後の大学生活も順調で、レポートの採点などではいつも高得点をとっている。


雅也は、祥の家庭教師の甲斐あり、一流大学に無事現役合格。
その後もテストなどでは祥に勉強を教わり、祥同様、成績優秀な生徒となり、同級生に頼られる存在に。


そして亮は、、亮も祥や雅也と頑張った甲斐あり、大学に合格。元不良というような面影を全く見せずに、
将来は竜也のような人間になる為に、一生懸命勉学に励んでいた…。





inserted by FC2 system